今、季節だけが移ろう
今日も夕日がキレイです。
風は真冬の鋭さを失い、日の光に当たって柔らかく春を感じさせます。桜がだんだんと散り始めるにつれて、午後の空気はどんどん間の抜けた物になっていって、その朗らかさにほだされてつい「まあいっか」と昼寝してしまいたい気分になります。
街は、未だ人気が失せたままなのに。
刻々と季節が移ろう中で、人の営みだけが速度を落としていく光景は、奇妙というか不可思議というか、とにかく強く印象に残ります。四季鮮やかな国で暮らしている僕にとって、人の時間は季節に彩られながら過ぎ去ってきました。なので、人と自然は共に流れるものだと思っている節がありました。
しかし、人が動きを止め、季節だけが街に流れていく光景を眺めていると、2つは全く違う次元のモノに見えてきます。人の時間はこんなにも切り離されていたのか。それともたった今、切り離されようとしてるのか。あるいは加速し過ぎていた時間が元の速度に戻ってきてるのか。
いずれにしても、今まで一様に見えていたものは、ただ一様に見えていただけだったのだなと思います。